元フランチャイズ本部社員が語る業界の裏側

悪質なフランチャイズ本部に騙されないための、オンライン講義はじまります

「探す!フランチャイズ」事務局 ライターXです。

皆様には日頃お世話になっています。
「新着記事の更新が遅いぞ!」ですとか「誤字脱字も目立つぞ!」
「もっと実のある合宿しろ!」というような厳しくも愛情あふれるご指摘を受けつつ、日夜精進しているつもりです。

本コラムでは、悪質なフランチャイズ本部の勧誘手口をご紹介しております。
もちろん、すべてのフランチャイズ本部がこのような手口を使っている、ということではございません。

しかしながら失敗してから後悔しても、後の祭りです。
こんなFC本部には引っかかりたくないものですが、転ばぬ先の杖とお考えいただき、
探す!フランチャイズから請求いただいた各フランチャイズ本部資料を手元に置きながらご一読いただければと思います。

では、以下より始まります・・・。

プロローグ|オンライン講義

素人では気付かないフランチャイズ本部資料・数字のカラクリ注意!
「絶対にフランチャイズで成功したい」その覚悟が無い場合は読まない方がいいかもしれません。なぜなら・・・

フランチャイズは知名度が抜群だから成功する。
本部のサポートがあるので素人でも安心できる。
そういう思いでフランチャイズに加盟するオーナーさんがいますが、はっきり言って間違いです。
確かにそういった時代もあったかもしれません。
しかし、大手ファミリーレストランが象徴するように大きいから、チェーンだからと言う理由で、流行るという時代は既に終わりました。
確かに、素人でも始める事が出来るフランチャイズビジネスは大変便利なものです。
しかし、加盟した後に「こんなはずでは無かった!」と後悔するケースがあるのも事実です。
が、時すでにおそし。契約上、加盟金は返ってこない・・・・。
会社であろうと、個人であろうとも、大切なオカネです。できることなら、無駄金は払わずに済ませたいもの。その為には何をすべきか?

どのフランチャイズ本部の資料にも必ず載っている店舗収支表。
あなたは、この数字にウソがあると思いますか?
答えは次回のレポートより詳しく説明しますが、これからお話する視点で資料を見ていただくと、
少なくとも悪質なフランチャイズにつかまる事もなく、あなたの大事な資金を失わずに済むでしょう。

フランチャイズ本部・数字のカラクリ

まずは下の収支表をご覧ください。
フランチャイズ本部の資料には収支モデル、または損益モデルという表が載っています。
表の初めに、売上があり、原価、各費用項目が続きます。
その項目は各本部で若干は異なると思いますが、大方、上記のような表になっていると思います。
ここでは数字に潜むマジックにスポットを当て実際の表を見た際に注意すべきポイントを記載します。

収支モデル(単位:千円)

科目 金額 売上比
売上 5,000 100%
原価 1,500 35%
粗利 3,500 65%
人件費 1,500 30%
水道光熱費 350 7%
消耗品 100 2%
ロイヤリティ 250 5%
賃貸料 400 8%
広告宣伝費 150 3%
その他 100 2%
償却前店舗利益 650 13%

チェックポイント①|売上

モデル収支は何を基準・根拠に算出したものか?

まず、この収支は何を根拠にしているのかです。「え? 店舗の平均値じゃないの?」
ほとんどの方がそう思われていますが、実はそうではありません。
あくまでもモデルです。モデル=手本や基準。つまり基準となる理想の状態です。と言うことはこの数字の店舗が実際にあるわけではありません。
ですから、まず何を基準にして収支を算出をしているのか、確認してください。
あくまでも、本部としての理想基準の値の数字である可能性がありますので確認しましょう。

既存店の坪当たりの売上を調査する

もし、収支の売り上げが、既存店の平均値だったとします。
しかし、その場合次のようなケースが考えられます。
毎月の平均売上が700万円の店と300万円の店。この店舗の平均売上は・・・
そうです、500万円です。でも実際に500万円の売上の店舗なんてありません。各店舗の坪数のばらつきです。
何坪の店舗がどのくらい存在するのか?担当者に必ず確認してみてください。
次に確認して欲しいのは既存の店舗は坪あたり平均いくらの売上があるのか?
これを確認する事です。それが判断の基準になります。
わかり易く簡単に説明しますが・・・
30坪で600万円、20坪で400万円。2店の坪あたりの売上げは20万円です。
しかし、40坪で650万円、20坪で350万円での店でしたら坪あたり16.6万円です。
同じ平均売上が500万円でもまったく儲けの質が違います。 ですので、単純に売上げ平均がいくらかや、
最高売上の店舗の数字に惑わされないでください。

売上は1年間の平均かどうか?

年々売上が下がっているのに、毎年変わらずのっけている会社もあります。
しかし、最初に話したようにあくまでモデル収支なので変えない所も多々あります。
またオープン景気(開店セールなどを開催している店)の店舗の売上を入れると、既存店舗が少ない本部は平均売上が跳ねあがります。
新規出店があるとオープン景気で全体の平均売上が対前年と比べ、上がっているように見えることがありますが、
1年以上経過している店舗の前年比がどうかを必ず確認してください。

何日営業の売上予測か?

当然、休みを取る場合と、取らない場合は売上が変わります。休みをとらないとなると、その分の人件費も増えてきます。
直営店は、組織ですので休みなく営業することが可能ですが、フランチャイズの場合は、必ずしもそうとも限りません。
また休みを認めないということもありますので、必ず確認してください。

チェックポイント②|原価率

ロス・廃棄が入っているか?

廃棄が発生するものはそのロスが入っているかどうか確認してください。またロス率も必ずチェックです。
直営店の場合は、ロスになりそうなものを他店に回すことをしている本部もあり、ロスを少なく見せる事が可能です。
細かな事ですが、原価比率は高いだけに大事なポイントです。

チェックポイント③|人件費

お客様何人に対して、何人のスタッフが必要か?

社員ひとりで対応できる坪数は何坪か?

社員の給与、アルバイトの時給はいくらで計算しているか?

直営店の場合は、社員に残業代をつけないで働いてもらったり、また休みまわしといって休日を作らない為の、
社員の休みの日にサポートをする社員がいたり、マネージャーがいます。
フランチャイズ場合、人を借りる場合は、必ず派遣の費用が発生します。
従って、休日が発生する場合、売上も下がることも考えておくべきです。(週1日休んだら、4日分の売上がなくなります)
またモデル店は30坪でも、30坪の店舗が必ずできるとは限りません。
30坪で社員二人が適正ですが、実際22坪でも社員は二人いないと回らないといったケースも発生します。
さらに、社員が複数名いる場合は、法廷福利費(健康保険、年金など)や交通費もバカになりませんので。要注意です。
規模が小さくなるほどそれらの固定費は高い比率となります。
またアルバイト代も地域によって変わってきます。
全国に展開しているFCの場合は、時給をいくらで計算しているか確認することが大切です。
また交通費なども含まれているかどうか、細かいようですが必ず確認してください。

チェックポイント④|賃貸料

賃貸料は坪単価がいくらか?を必ず計算してください。

賃貸料(家賃)は坪単価がいくらか?を計算して下さい。地方都市や都会ではまったくちがいます。
資料には平均値ででていますが、地域格差がかなりあります。
関東地方では対売上比率10%以上ですが関西地方では7%ということは現実に存在します。これを平均とすると8.5%という数字です。
東京近郊では、よほど驚異的な売上か、2等地で勝負できる店舗でないと、10%以下というのは、あまり見かけない数字です。
1坪に対して、いくらかを計算して、近隣の実際の不動産屋にいって比べるのが一番良いです。
例えば飲食店にとっては、30坪前後は激戦区です。
皆が希望するような立地で、ちょうどいい広さの物件はほとんどでてきません。
もしくは、家賃がかなり高い場合がほとんどです。
すると、モデルの広さは30坪ですが、実際は上記のように、それより広いとか狭いというケースが多くなるという事があります。
ですから、既存店の坪数の資料をもらう事をお勧めします。

チェックポイント⑤|その他経費

その他経費の内容は?

まず、この収支は何を根拠にしているのかです。「え? 店舗の平均値じゃないの?」
ほとんどの方がそう思われていますが、実はそうではありません。
あくまでもモデルです。モデル=手本や基準。
つまり基準となる理想の状態です。と言うことはこの数字の店舗が実際にあるわけではありません。
ですから、まず何を基準にして収支を算出をしているのか、確認してください。
あくまでも、本部としての理想基準の値の数字である可能性がありますので確認しましょう。

チェックポイント⑥|償却前店舗利益

利益はどんな利益になっているか?

減価償却後の営業利益を載せているところと、償却前利益として乗せているところがあります。
償却前利益で終わらせていると数字がよく見えます。
しかし、大切なのは最終的にいくら投資していくら現金が残ったか(回収できたか)が一番大切です。
よって、税金、利息の支払い、借入金の返済といったキャッシュフローがわかる、シュミレーションを作ってもらってください。
(住宅の購入と一緒です。黒字倒産などにはならないように要注意)

チェックポイント⑦|開店数、閉店数に気をつけろ!

いくら閉店しても閉店にならない理由

直接、店舗収支とは関係ないのですが、直営店にしろ、フランチャイズ店にしろ店舗の出店数や閉店数は気になるものです。
しかし、この数字、正確に表しているとは限りません。
これはどうゆうカラクリかと言いますとフランチャイズ店から直営店に変わっていても、1店舗増とカウントしたとか、
フランチャイズ店としては閉店だが直営で引き継ぐので閉店していないとか、業態を少し変えたので閉店でないとか、
いろいろな理由をつけて数を操作している可能性があります。
できる限り、これらのことも質問しておいてください。

チェックポイント⑧|本部スタッフ

加盟契約前に会っておくべき人たちとは?

フランチャイズに加盟する際は加盟開発の部署が担当しますが、加盟後は物件開発部やスーパーバイザーが担当となります。
加盟する前に、一度この部署の方達にお会いすることをお勧めします。

肝は物件開発担当者

フランチャイズ本部によっては、「出店場所は自分で探してください」という本部がありますが、
よほどコネクションを持っていないと素人が探しても良い物件はあまり出てきません。思い出してみてください。
「こんな場所に出店できたら良いのになぁ」という場所に、「店舗募集中」という張り紙がでている事は稀です。
しかし、店舗が入れ替わっている事ってありますよね。良い物件はほとんどが水面下で動く案件です。
その案件を仕入れるにはどれだけの人脈やパイプを持っているかがポイントです。
そのカギは物件開発の担当者が握っています。物件開発は新人から育てるのが大変です。
よって、外部から中途で入ってきた人間が担当するケースが多いと思います。
物件開発担当者に会えるのであれば今まで、どんな会社にいて、どんな店舗を開発してきたか聞いてみてください。「店舗は立地7割」といいます。
立地が悪くても成立する店もありますが、よほどの特徴がない限り不可能のです。
一度、出店したら場所を変えることはできません。
普段からコンタクトを取って、小まめに情報を仕入れておくことも大切です。

頼れるはずのスーパーバイザーってどんな人?

経済産業省の統計によると、フランチャイズ加盟者からの一番多いクレームは「本部に指導力がない」というものです。
それもそのはず、現場で発揮する力とフランチャイズ加盟店を指導する力は別ものです。
ですから、いざフランチャイズを始めても指導できる人間があまりおらず、
中途採用や新卒で経験が少ない人達が、短期間で一通り知識だけを教わり、スーパーバイザーになることも珍しくはありません。

さらに…フランチャイズ加盟店への指導の仕方がわからない本部もあります。
極端な話、店舗が拡大できた理由が、「たまたま時流に載っただけ」なんて会社もあります。
だから本部がフランチャイズ加盟者に売上げを伸ばす方法を教えることができないのです。
フランチャイズ加盟の話が進んできたら、一度あなたの地区のスーパーバイザーと会ってみる事をお勧めします。

そして、いくつか簡単な質問をしてみてください。
例えば…
・近くにライバル店が出店した時はどういう対応をしますか?
・売上げを上げるにはどんな方法がありますか?
・なぜ、あなたはこの仕事をしているのですか?など…
知識・実績・情熱がないと、本にでてくるような表面的なアドバイスしかしてくれません。
いざ、商売が始まったら一番、頼りにするのがスーパーバイザーです。
そのことを忘れないでおいてください。